夏休み明け一斉テストの結果が返って来た。
各学年、各科、各コースの成績上位者10名の名前と点数が、両校舎の間にあるエントランスホールに張り出された。

お昼休みに突入し、そのエントランス部分に大勢の生徒が集まっている。

「ちーちゃん7位、さっちゃん8位、二人とも凄いっ、おめでとう!」
「それはこっちのセリフ。緒方に10点も差をつけて、ダントツ1位!」
「雫~、おめでとう!」
「さすが、我らの雫様」
「もうっ、やめてよ」

緒方奏斗が悔しそうに雫たちを見ている。
雫に勝つために、夏休み中勉強をしていたのかもしれない。

けれど、雫の集中力は桁違いだ。
幼い頃から培ってきた負けず嫌いの根性と、ここぞという時の勝負強さ。
そして、目標を達成するまでたゆまぬ努力をし続ける持続力は怪物クラス(モンスター級)

「雫先輩」
「あっ、……津田くん」
「1位、おめでとうございます」
「……ありがと」

土曜日のデートぶりだ。

「食べる時間なくなるから、テラスに行こうか」

さっちゃんがウインクして来た。
雫がはて?と首を傾げた、次の瞬間。
右手に圧迫感が……。

「今日は俺も、南棟の学食にします」
「……ッ?!」

津田くんが南棟の学食を食べようが、お弁当を持参しようが、そんなことはどーでもいい。
何故だか分からないが、私の右手が彼にぎゅっと握られている。

「あ~もうっ、見せつけちゃって~!彼氏に会いたくなって来た」
「私も~!尚理、お昼休みに入ったかな…、電話してみよっと」

さっちゃんとちーちゃんは自身のスマホで彼氏に連絡を入れ始めた。
すれ違う生徒たちの視線が、繋がれている私の手元に集中する。

「つつつっ、津田くんっっっ」
「雫先輩有名人だから、こうでもしなきゃ心配なんすよ」
「は?」