「ほっとける訳ないだろう!!」

「他人なんだからあなたには関係ないでしょ!」
「もう、別れたんだし…別れればもう関係ない!」

「ちょっと落ち着けよ!」

「落ち着いてる!だからほっといてもう」

「…そんなことできないよ」

「なにが!?」

「目の前ではるかが死のうとしてるのほっとなる訳ないだろ!」

「なんでよ!」

「大事な人が飛び降りるなんて止めるだろう!」

「…関係ないじゃん」
「あなたから言い出したんだから、簡単に大事な人なんて言わないで!」

「…」

「あなたのために仕事とか頑張ってきた!あなただから頑張ってこれた!」
「そのあなたがいないならもう頑張る必要も意味もない!」

「はるか…」

「入籍もしてない、子供もいない」
「長く同棲していた関係」

「…」

「…別れたらもう関係ないでしょ」
「だから…もうほっといて」

ばたっ…

今まで見たことも聞いたこともないはるかの顔と声。
それを言った途端、うずくまるようにしてベランダに崩れ落ち泣き出した。

「うぐっ…ぐぅ、、」
「うぅ…うっ、、」

同棲して10年以上、はるかが泣いたところは見たことがない。
もちろん映画とかで感動する涙はあった。
けど、悲しみなどの涙は初めて。

「…はるか、、」

「んゔ…ぐぅ…」
大きな声ではなく噛み締めるように泣くはるか。

初めて目の当たりにしたはるかに、どうすればよいか分からない。

「…」

別れを切り出す。
別れると言うことはどうゆうことなのか。
頭では分かっていたし理解もしていた。

でも…

僕らは確かに結婚していない。
子供もいない。
けど、お互い20歳くらいの時に東京に出てきて始めた同棲生活。

色々あった。
それでも10年もやってきた。

今思えばあの時、
こう言えばよかったのかとか、
こうしてたらよかったのとか。

キッカケは、はるかの行動やあの時の出来事。
それが僕の気持ちを壊したのは確か。

でも、そうなる前にもっと僕の気持ちをちゃんと話してたら…
そうしたら、こんなことに繋がらなかったのか。

「うぐっ…ぐぅ、、」



目の前で泣いているはるかを見て色んな思いが駆け回った。


すっ…

涙が無意識に流れた。


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