ガタっ!
ダッ・・・

ダッダッダっ
カチャ…

「ちょっ・・・」

ガラガラ
スッ…
スタッ…

さっきまで目の前にいた、はるががベランダいる。
こっちを向かず真っ暗な外を見つめている。

「…は、はるか。。。」

「…」

「はるか!」

「…」

ガタっ!
ダッダッダっ…

嫌な予感がしたゆうまははるかのいるベランダの窓へ向かう。

ここは10階のマンションの部屋。
ベランダの下には人通りの少ない道路。

「は、はるか!」

「…」

窓に着くなり声を出す。

「な、なにしてんの」

「…」

「おい、はるか!なにしてんの!!」

「…」

話かけても依然こっちを向かず、何もない目の前を見つめているはるか。

「はるか!」

「…」

スタスタ
カタっ

なにも発しないはるかがベランダの縁《へり》に足をかけた。

「お、おい!」
咄嗟《とっさ》にはるかの腕を掴む。

「離して」

「おい!」

「いいから離して」

「なにやってんだよ」
縁《へり》にかけた足を下ろすようにはるかの腕をとりベランダの中に引っ張り出す。

「…」

「は、はるか!」

こっちは向かない。

「…」

スっ
カタっ

「おい!やめろって」
「なにしてんだよ」

「…」
ずっと無言のまま。
腕をとっているにも関わらず、力強く振り解こうとしてくる。
何度も、何度も。
それでも、ベランダ縁<へり>に足をかけようとする。

「早く離して」

「はるか!」
「死ぬなんてことするな!」
これまで、はるかの前では出したことのない声色で叫んだ。

「…」

スタっ

ゆっくり足を下ろす。
無言のまま。

「…」

硬直したままベランダで立ち尽くす二人。

「は、はるか」

「…」

スっ

ゆっくりとこっちを振り向く。

「はるか…」
ようやく顔が見れたはるか。


「もう、あなたには関係ないでしょ」


そう言ったはるかの顔は、

泣いているわけでもなく、
怒っているわけでもなく、
悲しんでいるわけでもない。

感情のない機械のような顔だった。

「だから、ほっといて」

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