「はるか!!」
僅かであるが目を開き、とても小さな声を発したはるか。
「……ゆうま…」
「…ありがとね……」
「あぁ…あぁ……」
強く強くはるかの手を握り返して頷いた。
「お母さん、早く、早く先生を!」
「はるかが…はるかが目を覚ましました!」
「えっ…えぇ!!…はるか…」
バッ…ダッダッタ……
「はるか…僕だよ…わかるか?……」
「……うん」
「本当に…ほんとうによかった……」
「うぅ…ぐぅ………ぅぅ…」
「…側にいてくれて…ありがとうね…」
「ちょっと…疲れちゃったから…少しおやすみする……ね」
「うん…うん……」
「このまま側にいるから…安心してね……」
「うん…またね……」
そう言ったはるかはゆっくり目を閉じた。
…
先生の話だと本当にすごい出来事だって。
目が覚めたキッカケになったのは強く握った手の感触と、ゆうまさんあなたの大きな声とのこと。
そして、なにより一年間、名前を呼び続けて、話しかけてきた事がなにより大きかったと言われた。
はるかは確かに意識不明だった。
でも、声をかけ続けたことでいつも呼ばれていた声をはるかさんの体が覚えていてそれを感じていたんだって。
そして、はるかが目を覚まし、いきなり話した内容。
----
「…………私も大好きだよ」
「…側にいてくれて…ありがとうね…」
----
ずっと意識はなかったけど、ちゃんとゆうまさんが問いかけてくれていたことを体が記憶していたから言葉に出来たんだって言っていた。
医学的に根拠のない話だけどって。
ただ、一年も眠っていたから体力も筋力も、心肺機能など私生活をするまでは長いリハビリが必要とのこと。
だけど、そんなのもういいの。
目を覚ましたはるかがいるんだから。
どれくらいかかっても、僕は待つから…
~~~
~~
~
スタ...スタ...スタ...
「あれから一年半も経ったんだね」
「時間かかったね〜〜〜!でも、あっという間だったよ」
「ゆうま、ずっとありがとうね」
「なんもしてないよ〜はるかもずっと頑張ったね!えらいぞ〜」
長いリハビリも終わり、ようやく退院となった。
そして今日2人で自宅に戻ってきた。
スタ...スタ...スタ…
まだ、完全に回復したわけではないからゆっくりとゆっくりと。
2人で自宅の玄関に向かい歩く。
スタ...スタ...スタ…
「ふぅ、、、大変だぁ」
「ゆっくりで大丈夫だから!」
「でも、ほらあと少しでお家だよ〜」
「うん!早くお家入りたい!!」
ぎゅ・・・
病院を出てからずっと手を握ってくるはるか。
同棲10年の時、そしてあの時は少し面倒と思っていたけど、今は違う。
握ってくる手を僕も離さないように強く握って帰ってきた。
そして・・・
「ほら、お家着いたよ!」
「うん!懐かしい扉だぁ〜!!」
「だね!」
「・・・」
「・・・」
~~~~~
キッカケは知らない電話。
でも、小さな積み重ねで招いたこと。
そして、それぞれの思い違いや伝え漏れなどが全て。
それから2人とも色々あった。
初めて気づいた事、改めて思った気持ち。
本当にたくさん・・・
でも、きっともう大丈夫。
~~~~~
「・・・じゃあ開けるよ」
「うん!」
ガチャチャ...
ガチャ…
「さぁ開いたよ!」
ギィー
「あっ、お家だぁ〜〜〜!」
扉を開くとかわりのない家の廊下。
玄関には2人の靴が数個あるだけ。
でも、2人には違う光景に見えた。
あの日、僕が出て行った場所。
あの日、ゆうまがいなくなった場所。
その前に2人手を握って立っている。
「・・・じゃあ2人では行こうか!」
「うん!はいる〜!」
スタ...スタスタ...
スタ
2人で玄関に立った。
「…はるか、おかえりなさい!」
「うん!ゆうまただいまぁ〜!」
「はるかはるか!」
「なぁ〜に?」
「お家で一番なにしたい?」
「え〜・・・いっぱいあるけど」
「一番だよ!」
「う〜ん…したら、ゆうまの料理が食べたいです!」
「そんなのでいいのかよ〜?」
「それが一番いいの〜!」
「なんか、はるからしいや」
「じゃあ、一番好きなの作るよ」
「やったぁ〜〜〜!」
「じゃあ、作るまでゆっくりしてて!」
「あっそれでね、はるかに話したいことがあるんだ」
「あっ・・・私もゆうまに伝えたいことがあるの」
「そっか!じゃあご飯しながらゆっくりお話ししようね」
「うん!」
スタ...スタ…
バタン
2人の同棲13年目の新たな生活が始まる。
------------------------
40話とここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました!
2人の物語はいかがでしたでしょうか?
最後の方は執筆していて悲しくもなり、大変でしたがハッピーな方向で着地できたことを嬉しく思っております。
裏コンセプトとして
浮気とは?不倫とは?
これらは一体どこからを指すのか?に加えて、小さな積み重ねの重みと我慢してしまう事の良し悪しを描いておりました。
それらが少しでも伝わっていたらよかったと思います。
処女作がこんなに長く執筆し完結できたのは皆さまのおかげでございます。
本当にありがとうございました!
最後に、皆さまの率直な感想や評価・コメントをいただければ嬉しいです。
作品の振り返りとともに、以降に執筆する作品に対する参考と活力になりますので、お手数おかけしますがご協力をお願いしたく思います。
また、よかったらこの作品のトップページの下部にあるリンクから
『ずっとあのままでいられたら』
を広めていただけるとめっちゃ嬉しいです!
ここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました!!
引き続き、"初めての書き出し小説風"を
どうぞよろしくお願いいたします。
僅かであるが目を開き、とても小さな声を発したはるか。
「……ゆうま…」
「…ありがとね……」
「あぁ…あぁ……」
強く強くはるかの手を握り返して頷いた。
「お母さん、早く、早く先生を!」
「はるかが…はるかが目を覚ましました!」
「えっ…えぇ!!…はるか…」
バッ…ダッダッタ……
「はるか…僕だよ…わかるか?……」
「……うん」
「本当に…ほんとうによかった……」
「うぅ…ぐぅ………ぅぅ…」
「…側にいてくれて…ありがとうね…」
「ちょっと…疲れちゃったから…少しおやすみする……ね」
「うん…うん……」
「このまま側にいるから…安心してね……」
「うん…またね……」
そう言ったはるかはゆっくり目を閉じた。
…
先生の話だと本当にすごい出来事だって。
目が覚めたキッカケになったのは強く握った手の感触と、ゆうまさんあなたの大きな声とのこと。
そして、なにより一年間、名前を呼び続けて、話しかけてきた事がなにより大きかったと言われた。
はるかは確かに意識不明だった。
でも、声をかけ続けたことでいつも呼ばれていた声をはるかさんの体が覚えていてそれを感じていたんだって。
そして、はるかが目を覚まし、いきなり話した内容。
----
「…………私も大好きだよ」
「…側にいてくれて…ありがとうね…」
----
ずっと意識はなかったけど、ちゃんとゆうまさんが問いかけてくれていたことを体が記憶していたから言葉に出来たんだって言っていた。
医学的に根拠のない話だけどって。
ただ、一年も眠っていたから体力も筋力も、心肺機能など私生活をするまでは長いリハビリが必要とのこと。
だけど、そんなのもういいの。
目を覚ましたはるかがいるんだから。
どれくらいかかっても、僕は待つから…
~~~
~~
~
スタ...スタ...スタ...
「あれから一年半も経ったんだね」
「時間かかったね〜〜〜!でも、あっという間だったよ」
「ゆうま、ずっとありがとうね」
「なんもしてないよ〜はるかもずっと頑張ったね!えらいぞ〜」
長いリハビリも終わり、ようやく退院となった。
そして今日2人で自宅に戻ってきた。
スタ...スタ...スタ…
まだ、完全に回復したわけではないからゆっくりとゆっくりと。
2人で自宅の玄関に向かい歩く。
スタ...スタ...スタ…
「ふぅ、、、大変だぁ」
「ゆっくりで大丈夫だから!」
「でも、ほらあと少しでお家だよ〜」
「うん!早くお家入りたい!!」
ぎゅ・・・
病院を出てからずっと手を握ってくるはるか。
同棲10年の時、そしてあの時は少し面倒と思っていたけど、今は違う。
握ってくる手を僕も離さないように強く握って帰ってきた。
そして・・・
「ほら、お家着いたよ!」
「うん!懐かしい扉だぁ〜!!」
「だね!」
「・・・」
「・・・」
~~~~~
キッカケは知らない電話。
でも、小さな積み重ねで招いたこと。
そして、それぞれの思い違いや伝え漏れなどが全て。
それから2人とも色々あった。
初めて気づいた事、改めて思った気持ち。
本当にたくさん・・・
でも、きっともう大丈夫。
~~~~~
「・・・じゃあ開けるよ」
「うん!」
ガチャチャ...
ガチャ…
「さぁ開いたよ!」
ギィー
「あっ、お家だぁ〜〜〜!」
扉を開くとかわりのない家の廊下。
玄関には2人の靴が数個あるだけ。
でも、2人には違う光景に見えた。
あの日、僕が出て行った場所。
あの日、ゆうまがいなくなった場所。
その前に2人手を握って立っている。
「・・・じゃあ2人では行こうか!」
「うん!はいる〜!」
スタ...スタスタ...
スタ
2人で玄関に立った。
「…はるか、おかえりなさい!」
「うん!ゆうまただいまぁ〜!」
「はるかはるか!」
「なぁ〜に?」
「お家で一番なにしたい?」
「え〜・・・いっぱいあるけど」
「一番だよ!」
「う〜ん…したら、ゆうまの料理が食べたいです!」
「そんなのでいいのかよ〜?」
「それが一番いいの〜!」
「なんか、はるからしいや」
「じゃあ、一番好きなの作るよ」
「やったぁ〜〜〜!」
「じゃあ、作るまでゆっくりしてて!」
「あっそれでね、はるかに話したいことがあるんだ」
「あっ・・・私もゆうまに伝えたいことがあるの」
「そっか!じゃあご飯しながらゆっくりお話ししようね」
「うん!」
スタ...スタ…
バタン
2人の同棲13年目の新たな生活が始まる。
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40話とここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました!
2人の物語はいかがでしたでしょうか?
最後の方は執筆していて悲しくもなり、大変でしたがハッピーな方向で着地できたことを嬉しく思っております。
裏コンセプトとして
浮気とは?不倫とは?
これらは一体どこからを指すのか?に加えて、小さな積み重ねの重みと我慢してしまう事の良し悪しを描いておりました。
それらが少しでも伝わっていたらよかったと思います。
処女作がこんなに長く執筆し完結できたのは皆さまのおかげでございます。
本当にありがとうございました!
最後に、皆さまの率直な感想や評価・コメントをいただければ嬉しいです。
作品の振り返りとともに、以降に執筆する作品に対する参考と活力になりますので、お手数おかけしますがご協力をお願いしたく思います。
また、よかったらこの作品のトップページの下部にあるリンクから
『ずっとあのままでいられたら』
を広めていただけるとめっちゃ嬉しいです!
ここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました!!
引き続き、"初めての書き出し小説風"を
どうぞよろしくお願いいたします。