スゥ…

泣き疲れ眠ってしまったようだ。
目を開けて見ると窓の外は真っ暗。

カチっ…

はるかのLINEを開いた。

「…」

僕からの連絡と着信がたくさんあって返信はない。

「…やっぱり現実だったのか、、」

さっきの事を信じたくなかった。
だけど…

ガチャ

寝室を出ると真っ暗な家。
はるかはいない。

「…はるか」

今ハッキリ感じた。
僕ははるかが好きだ。
大切な人だ。

家を出てから色々考えた。
けど、確かに自分の気持ちを理解した。

はるかが死ぬかもしれない。
もう2度と会えなくなるかもしれない。

そう思った時、すごい怖くなった。
だからこそ、またはるかに会って自分の気持ちを伝えたい。
そばにいたい。

こんなの滑稽かもしれない。
はるかが死ぬかもという状況で思った気持ち。。

だけど、そんなのはもうどうでもいい。

またはるかと一緒に生活をしたい。
ただ、それだけ。

だから…

「…はるか、僕はもう負けないから…」
「はるかも一緒に頑張ろうな…」

病院で先生から聞いた話。
なにがあっても負けない。

もしかしたら僅かな可能性なのかもしれない。
でもそこには、はるかがいる。
生きて横になっている。

「…諦めない」

世界には27年後に目が覚めた事例もあるって医者が言っていた。

だから…いつか目が覚めると…





「はるか今日はね久しぶりに料理作ったんだよ」
「一緒に食べようね」





「今日さ仕事でこんなことあってさ…ほんとまったく〜だよね」





「あの時お家を出て行ってしまってごめんね。寂しくさせたよね。。」
「あの大きなベットで1人寝るの辛いもんね」





「僕はね、はるかの事好きです」
「…これまであまり直接言わなくてごめんね」





「もう衣替えの季節だから洋服整理するの大変だよ…」
「はるか、お洋服大好きだから毎年大変だったよね」





「はるか、開けましておめでとうだよ」
「今日はね、毎年はるかが楽しみにしてた手作りのおせち料理を作ったんだ」





「…はるか…はるか…」




一カ月、半年、一年。
時間が流れた。

あの病室には初めてきた時と同じ光景のまま。
輸血はなくなり、栄養補給ようの点滴に変わった。

心電図もあの時から変わらず音を響きかせている。

顔の傷はもうない。
けど…

「…はるか……」
「…俺…もう、、、」

だんだんと痩せ細っているはるがが横になっている。
はるかは目が覚めなかった。


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