「…もう、その男の話は聞きたくないな」

「えっ、なんで?」
「昔、どんな些細なことでも相談してって言ったのはゆうまじゃん」
「だから、話してたのに」

「いや、そうなんだけど…」

「じゃあ、もう今後一切ゆうまには相談しないから」

「そうゆうことじゃないじゃん」


ここに行き着くまでにいろんなことがあった。
それらが、ゆうまの心をおかしくしていき、はるかに対する気持ちが徐々になくなっていくことにつながる…



その男とは"はるか"がオンラインゲームで知り合った人"けいすけ"。
遠方にご家族と住んでいて、たまに仕事で僕らのいる東京に来ることもあった。
ゲーム内で仲良くなり連絡先も交換して日常的にやりとりをしている。

ある日、"はるか"が
「今日"けいすけ"さんが東京に来るんだって〜!」
「だから一緒にご飯食べに行かない?友達紹介したいし」

そう言う"はるか"。
もちろんお互いのプライベートなことは話しており、相手の家庭の中でも"はるか"のことやパートナーがいることも知っているし、僕も奥さんとお子さんがいることは知っていた。

「いつもお世話になっているからって"けいすか"さんも言ってるから…だめ?」

変に断る理由もない。
僕もどんな人か気になっていたから折角だしと思い。

「あ〜いいよ〜」
と返した。



当日。
「あっ始めまして〜」
と待ち合わせ場所で簡単な挨拶をしてご飯を食べに向かう。

お酒も飲んでいる中でもちゃんとした人だと思った。
年齢は僕より8歳年上。
僕も楽しいご飯会であっという間に時間が過ぎた。

「もうこんな時間だね。そろそろ解散しようか」
「僕のこと迎えに奥さんと子供が車で来る時間だし」

と言う。

「あっじゃあ折角なので、僕らもご挨拶したいです〜!…大丈夫ですか?」

「もちろんだよ!」
「じゃあ向かおうか」

お会計を済まし待ち合わせ場所に向かう。



「あっお世話になっております〜」
「今日は旦那さん少しお借りしてすいませんでした〜!」

「あっ、どうも〜」
「こちらこそ、お会いできてよかったです!」

ご挨拶をした奥さんは見た目は普通のOLさん。
お子さんは小学3年生くらいの女の子。
「あっはるかさんだ〜!始めまして〜」

「ちはるちゃん、こんばんわ〜」

普通に良いご家族で、なんかいいなぁ〜としみじみ感じた。

「では、もうこんな時間なので帰りますね!」
「今日ははるかさん、ゆうまさんわざわざ時間を作ってくれてありがとう」
「またね〜」

「こちらこそありがとうございます!お気をつけて〜」

と、その日楽しいご飯会は終わった。

それから数ヶ月、今日もいつものように"はるか"は"けいすけ"さんとやりとりをしているようだ。
僕は一度会ったこともあるしからなにも気にとめない。

そんな日がさらに数ヶ月経った時。
その出来事につながることが起きた。




プルルルルっ
唐突になった"はるか"のスマホ。
見ると電話番号登録していないスマホからの着信。
少し不気味に思いながらも
「…はい?」
電話に出た。

「こちら、はるかさんの電話でお間違いないでしょうか?」
聞き覚えのある声。

「はい、そうですが」

「私、けいすけの妻です」

「あ〜どうも。こんばんわ。」
電話番号を教えた記憶はないのになんで?と疑問に思いながらも聞き返す。
「あっどうしました?」



「いや、そうゆうのいいから」

「はい?」

「あんた、けいすけと不倫してんだろう!」


いきなり鳴った知らない電話がそれだった…


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