「川井さん」

「ごめん、気にかけてくれてありがとう。帰るね」


私は横山君の顔を見ること無く鞄を掴み椅子から立ち上がると、手首を掴まれた。


「告白、本気だよ」


真剣な表情を見て、何故自分が泣きそうな気分なのかわからない。
目を見て答えなければと思うのに出来なかった。


「ありがとう。ごめんなさい、今頭が混乱してて」

「良いよ、返事はまた今度で。
出来れば君の誕生日に彼氏として側にいられたら良いって思ってる」


ゆっくり私の手首を軽く覆うその手が離された。
私はその言葉に返事も出来ずに、逃げるように教室を出た。