「さっきから何かと三ツ沢さんが思い浮かんでいるんじゃ無い?
自業自得だけど、僕は川井さんに対してのんきに行動していたことを後悔しているよ」


悲しそうな、寂しそうな表情を横山君は浮かべた。
何故私は好きな人にそんな顔をさせているんだろう。

違う、光生さんなんて好きじゃ無い、ずっと横山君が、と口に出せば良いのに、私はいつから横山君ではなく光生さんの事ばかり考えるようになってしまったのだろう。

これは愛じゃ無い、恋じゃ無い。
そう必死に自分に言い聞かせるのに、どうしてこんなに胸が苦しくなるの。


「川井さん、そんな思いつめた顔しないで」


柔らかな声が聞こえるのに私の喉が詰まっている。
今、彼に言わなければいけない言葉。
ずっと言いたかった言葉。

それを私はどうして出来ないのだろうか。


「答えを、受け止めきれないって顔、してる。
僕への返答よりも、三ツ沢にしたいってこと」

「違うの!私は」


必死に彼に伝えようとしたら、私の手をそっと大きな手が包む。
驚いて手を引っ込めようとしたのを、彼はあまり強くないけれど有無を言わさないとうに少し力を強めた。


「三ツ沢さんと付き合って見ればわかるよ」


その声は聞いたことも無いほど何一つ優しく感じなかった。