その後水族館近くのチェーン店のイタリアンレストランでスパゲッティを食べ、今光生さんと二人で電車に乗っている。

今回は食事もいつもの高価な場所では無く若い人達も多いから賑やかで光生さんは嫌がるかと思ったが、一切嫌がることも無くむしろ彼からここにしようと提案された。それも駅までの帰り道だから行き当たりばったり。

そして今は電車に二人で揺られている。
あまり混んでいないから運良く二人で座っているけれど妙な気持ちだ。

おそらく私のことを考えて普通のデート・・・・・・おでかけをしようと努力したのだと思う。
これが大人の交際相手で光生さんに釣り合う人ならきっとこういう事はしなかったのでは。
そう思うと妙に申し訳ない気持ちと、反面楽しんでくれただろうかと気になってしまう。


「今日、無理してませんか?」


我慢できずに切り出せば、光生さんは不思議そうに私を見た。


「無理?」

「だって今まで水族館とか来たこと無いって言ってたし、食事はチェーン店だったし。
光生さんと釣り合う人ならこういうおでかけすること無いんでしょ?」


光生さんが目を丸くすると、今度は身体を丸めて震えだした。
うん、必死に笑いを堪えているんだね、声が漏れてるよ。
というか、なんで笑われるんだろうか。

のそっと起き上がった彼の目には薄ら涙があって、そこまで面白かったのかと私の方が軽く引いた。