「そんなもんは人それぞれだろ」


腕を組むと光生さんは私を見ながら答えた。


「だから光生さんの場合ですよ」

「俺は俺なりがあるし、年齢や状況でも違う。
ただ、お前を好きになったのは今までのどのパターンにも当たらないな。

で、そんな質問をしてきたってことは、俺へそういう感情がわかないからか」


細まった目にすぐさま顔を背けてしまった。
これじゃそうですと言っているだけだけど、光生さんからの感情もまだ信用できてない部分もあるし、本人の意見を聞くのが一番手っ取り早いと行動してしまったが、確かに失礼すぎる質問だ。


「・・・・・・すみません、ご推察の通りです」


頭を下げて謝罪を述べるとため息が真上からする。呆れられて当然だ。


「紫央里、好きなヤツがいただろ、同級生の。
そいつを好きになったと自覚したのはそれこそ何故だ?」


あー、なるほど、そこを考えれば良かったのかと思わず手を叩くと思い切り睨まれた。
ほら、答えろ、と不機嫌な声で言われるので思い返しながら話すことにした。