しかしこの人が仕事の話をしているのを聞くのが好きだ。
好奇心が満たされるというのもあるけれど、何だか格好よく見えるからかも知れない。
そしてそれが口だけで無く本当に仕事が出来る人だと言うことも少しはわかっている。

確かに光生さんのルックスは良いのだろう。
だけれど、こうやって仕事を語っている方が私にははるかに魅力的に思えた。

『でもこれが恋かと言われると漫画とかとは違う気がするし』

むむ、と考え込んでいたら肩を叩かれる。


「どうした」


何で急にそんな態度取ってるんだ、わからん、という表情がありありな光生さんを笑いそうになるのを堪えて率直に聞いてみることにした。


「光生さんの場合、相手を好きになったってどこで自覚するんですか?」


光生さんの目が丸くなり、口が小さく開いたまま。
動かないので腕を突っついたら我に返ったようだった。


「お前がそれを聞くのか」

「是非、人生の先輩としてご意見を賜りたいと」


真面目に言えば、彼の目が私を覗き込むように見てきて私の目が泳ぐ。
腕を掴まれたかと思うとあまり人のいない壁際に連れて行かれ、そしてそこに立ったままかなり悩んでいるようだった。