高校1年の始めの頃は
遅刻してはいけないと一本早い電車に乗っていた
一本と言っても5分ぐらいしか違わない
少しづつ学校にもなれてきて
一本送らせても大丈夫という事に気付いた
私はあの日から毎日毎日あなたの後ろに並び
満員電車の中でも隣をキープする
でも私の方が先に降りてしまうから
あなたの駅がいまだにわからないまま
そんな行動を繰り返して
春から夏に季節は変わった
(うわっ…ジャケット着てない!
今日からクールビズなんだ…これはダメだ)
何がダメなのか、わからないけど
このダメ意味を女子ならわかってくれるはず
(今日も素敵だな…あれ?柔軟剤変えたのかな…
いい香りだなー)
こんな気持ち悪い女が隣にいつも乗っているなんて
思ってもいないだろう
あなたはいつも音楽を聴いて
窓の外を眺めている
今日も私の降りる駅が近づく
この瞬間が嫌で仕方ない
このまま着いて行きたいって毎日毎日
思うけど
「◯◯駅です」
大きなため息と共にいつも降りる
いつも降りてからも
窓越しのあなたを目で追いかけているけど
もちろんあなたは何も知らないまま
今日も自分の存在すら知られないまま
1日が始まる…