「僕は自分の父方の祖父を,敬意を込めておじいさまと呼んでいる。誰よりも優しくて,誰よりも無謀で,勇敢で,そしてやっぱり,誰よりも僕に優しかったからだ」
5歳。
あの頃の僕は,幼かった。
「もう殆ど憶えてない。でも,花つきの僕が見れるたった1つのその笑顔が大好きだった」
父も母も隔離された中,何故か祖父だけが許され会いに来てくれた。
「異端の花つきだと突然一人にされた僕に,毎日2時間会いに来るおじいさまを愛していた。花つきが何かもよく知らなかった僕は,だめだと気付きながらも,ただ喜んでしまった」
そして,半年も経って。
寧ろ半年助かっていたことは奇跡としか言いようが無いが
「おじいさまは,僕を通じてフラワー病に感染した」
タルトが息をのむ。
止めようかとも思ったけれど,僕はそうしなかった。