「俺達は友達だ,ジョン。聞いた後で見なかったことにも聞かなかったことにも出来るし,知らんぷりして忘れてやることも出来る」
タルトは切り口を変えて,僕へもう一度同じ言葉を問い掛けた。
それは流石と言うべきか,意外にもほんの少しだけ僕の心を揺らす。
卑怯だ,と僕は思った。
こちらを向くタルトを見もせずに,僕は呟く。
「……花」
「……なあに。もういいの?」
僕の言葉通りに長い間黙っていた花は,初めてしおらしい声を発した。
言い表せない感情が心を支配して,僕は喉を震わせる。
「少しでいい。また,眠っていてくれ」