ざり,と。

木の枝を踏み,前方へ押しやった音がする。

僕はその音の正体が誰かを確信し,落ち着きを払って顔をあげた。



「……どうかしたのか,ジョン」



タルトはそっと隣へ座る。

何と答えるべきか,窮した僕はただ見つめ返した。



「花は?」

「黙れと言ったら黙ったままだ。多分こいつは生まれたときから何も考えてない」



僕達に悪いなんて考えてもいなければ,そこにたどり着く日もきっと遠い。



「何がジョンの気をそこまで落とさせたのか,話す気はあるか?」

「ない」



僕はばっさりと切り捨てた。

1度考えてもみたが,やはり。

あの話をどうまとめても長くなる。

今日だってお互い寝ていないのに,そんな状態で重要な話をするのは良くないと思う。