「ととさま,おきゃくって人に習ったって言ってた! そういう意味だったんだ! わたくしちゃまにも教えてくれたらよかったのに……!!!」
「お客は名前じゃない。それより,ととさまってなんのことだ」
「わたくしちゃまを,作ってくれたひと~!!!」
引っ掛かった言葉への応えに,僕は暴れる花を掴んだ。
「お前を,"作った"……?」
「うん,わたくしちゃま,たった一輪の最初のお花! ととさま,言ってた『い·でんしは情報を持っている。それを解き,新しく足し,環境さえ整えれば新しい命も生まれる。そうして私は,1からきみを作ったんだよ』」
遺伝子から,花を?
何の遺伝子から,人間が,どんな理由で?
しかも,これを大切にしていたのか……?
「……お前はさっき,あの小さな花に命令と言う言葉を使った。あれがお前に従った理由はなんだ」
僕は溢れる疑問を1度打ちきり,他の話に移る。
どの情報も,この600年だれも知らなかったものだ。