「思い,出せないの。なんだっけ,いつも,そうやって話しかけてもらったのに……えっとね,えっとね。ある,あれ……あも? あもー……る? あも,り……あもれ!! んんん?? ちがうなあ。あもれ,あーもれ。あーもうっ,ジョン,なんか違う!!」
「おい,暴れるな! ………………まさか……アモーレ,か?」
「それー!!!!!」
そんな訳がないと,僕は更に暴れる花に思った。
たまたま目を覚ましていたこの花に話しかけるやつがいたとして。
世界的に忌まれるこの花と言う存在に,そんな大切に言葉をかけるやつなんているわけがない。
アモーレ。
それはここから遠く離れた国の言葉。
家族や恋人,愛しいものや命を差したり呼び掛けたりする言葉だ。
名前ではない。
僕が意味を説明してやると,花は茎を伸ばし葉を増やし。
それを疑問に思うことなく喜ぶように暴れた。
それ以外に表現の方法を持たないのだろう。