「いいわけないだろ。名前が何だろうとタルトは人間だ。甘くもない」
けれど抑えきれなかった激情は,低く喉を震わせて出ていった。
「え~,残念~。あまいって言ってたのを食べたら,あまいがどれか分かるかと思ったのに……」
僕はショボくれた葉を,掴んでやりたくなる。
そんな僕に,タルトは身体全部で向き合った。
それどころか,近づいてきて僕の肩を掴む。
「怒るな,ジョン。止めてくれて助かった。俺はもう行くが,冷静にな」
ゆるりと,少しずつ僕の身体から力が抜けた。
その間花が大人しくしていたのが大きい。
タルトは一瞬だけ迷うような動作を取ったけれど,僕の花を数秒みて,そいつがなに? というように動いたのをみると,ため息を吐き離れていく。