「今のは,何だ? 普通の花とお前みたいなのは違うんじゃないのか?」



花というもの自体は,フラワー病の蔓延よりも遥かに昔から存在し,愛されるものだったはずだ。

だからこそ,その病はフラワー病と名付けられた。

けれどそんな前提の前後関係すら間違っていると言うのか?

僕は何から見直せばいい。

その答えを持つのは,僕の腹のこいつだけ。



「ちがうよ? だってあの子はごちそうさまって動いてきて,食べたくなるまで休んでるだけ。食べたくなったら,ひとの近くにいって,種を生んで,意識をお引っ越しさせるんだよ」



僕は小さく呟く。

ああ,僕の夜は。

まだ当分明けそうにない。



「また後で詳しく教えてくれ」

「うんっいいよ!!!!!」



花は元気一杯に,高い声を出した。

僕をひたすら孤独に追いやった,人の全ての元凶が。

こんなにも能天気な存在だったなんて。

僕は受け止めるために,数度瞬きをした。



「ジョン。俺達は近くにある水の都に買い出しに行くことにする。それがいつまでお前に好意的か分からないし,お前もその状態で隊員と共に先を進みたいとは思ってないだろ?」