真紘から〝ゆっくり話したい〟と綾人の元に連絡が来たのは、綾人が旭と今後のことについて話してから数日経った頃だった。


綾人は昔から、自分でも嫌になるくらい物分かりが良くて、勘が働きすぎるところがあった。


だから真紘のこのたったひと言で、自分がこれから何を言われるのかを悟ってしまったし、目の前に座る彼女が今何を考えているのか分かってしまった。


だから、少しでも真紘が言い出しにくくなればいいと思って、綾人は会う場所として彼女にプロポーズをしたホテルのレストランを指定した。


真ん中に小さな花が置かれた丸いテーブルを挟んで真紘と向き合うと、綾人の頭の中を彼女との思い出が走馬灯のように駆け巡った——。