「今晩はこのままここで絶対安静じゃ」


先生の言葉に旭は頷いた。


「ちゃんと休ませてもらえよ」


「……すいません」


「亮太くん今日はありがとうね」


「真紘さんに大きな怪我がなくて、ほんとそれだけは良かったっす」


旭と真紘が診察室を出ようとすると、旭のスマホが震えた。


画面を確認した彼がほんの一瞬眉を(ひそ)めたのを真紘は見逃さなかった。


「……ごめん。すぐ迎えに来るから、真紘ももう少しここにいてくれ」


「え!?私も付いていくよ……!?」


真紘の言葉はバタンと閉まった扉に(さえぎ)られてしまった。


こんな時間に一体どこへ行こうと言うのだろう。


亮太は彼の行き先を知っているのか、なぜか申し訳なさそうな顔をしていた……。