旭も来れると連絡があったが先に食べてていいということで、2人は和室のちゃぶ台で鍋を囲んだ。


「亮太くんはどうして杉本組に入ったの?」


具材が煮えるまでの間、真紘はずっと気になっていたことを尋ねてみた。


「俺親いなくて施設育ちなんすけど、まぁグレて悪い連中とばっか(つる)んでて。とうとうヤクザに目つけられて、もう抜け出せなくなったパターンですね」


「そうなんだ……」
 

普通に生活をしていたら、彼らヤクザと道が交わることはまずない。


接触しようと思ってもそう簡単にできるものでもない。


亮太のように、入口はちょっと悪い友達・先輩・大人だったのが、いつのまにかその世界に足を踏み入れてしまっていたというケースが多いと警察のホームページにも書いてあった。


「組の中で信用できるのはアニキだけです。本当は今の代行じゃなくてアニキが若頭になればいいのにって思いますよ〜。でもアニキには早く足洗ってほしい気もするし、葛藤っすね」


「その若頭代行の(あきら)ってどんな人なの?」


亮太はそうだなぁと畳に手をついて仰け反りながら天井を仰いだ。


「ひと言で言うと狂ってる。ヤクザらしいと言えば一番らしいかも。真紘さんってあの事件のこと知ってますよね?アレ、将也さん殺したのはアイツなんですよ、多分。なのにアニキに罪(なす)りつけようとして、マジで糞みたいなやつ」


しかし亮太は〝でも〟と続けた。