暮らす家が変わって同居人ができただけで、真紘自身の生活にそこまで大きな変化はなかった。


仕事の日は普通に仕事に行くし、休日は友達と普通に出かける。


そしてそんな真紘を旭や亮太が少し離れたところから見守ってくれる。


＊


「亮太くん。今日お鍋にしない？もし来れそうなら旭も誘ってさ！」


「イイっすね〜鍋！俺アニキに連絡しときます！」


２人はスーパーに寄って、真紘はカゴに肉、野菜、豆腐と鍋に必要な具材をひと通り入れていった。


「カゴ持ちますよ！」


カゴを取られた時に、チラッと覗いた腕に刺青が入っているのが見えた。


童顔で小型犬みたいな容姿だからつい忘れてしまうが、彼も正真正銘のヤクザなのだ。


旭といい、亮太といい、真紘の周りにはヤクザらしくない人ばかりでイマイチ危機感がもてないでいた。