「ハハッ……アハハハハッ！」


晃は壊れたように笑い出し、完全に真紘から手が離れた。


真紘は今しかないと思い警察の方へ走り出す。


そしてようやく裏庭に辿り着いた旭は縁側から「真紘ッ！」と叫んだ。


「確保しろッ！」


真紘は旭のいる方へ走り、旭は庭に下りて真紘の方へ走る。


そして真紘が晃から離れたのを確認して、綾人は晃を確保するよう指示を出した。


晃にはそれら全ての動きがスローモーションのように見えていた。　　


走っていく真紘と、彼女を待つ旭を見ていたら、哀しみと虚しさ、そして怒りが込み上げてきた。


——そもそも、旭。お前さえいなければこんなことにはならなかった！お前だけは幸せにしてたまるかよ……！


警察が動き出した瞬間、晃は羽織の間から隠し持っていた拳銃を取り出し真紘に向ける。


「やめろーッ！」


旭は叫びながら真紘の手を引っ張り庇うように抱きしめる。


そして同じく、真紘を庇うように綾人も斜線上に飛び出してきた。


——パァーンッ