2人の婚姻の儀は異様な雰囲気の中、淡々と進んでいった。


「それではここで、お2人には夫婦の(さかずき)を交わしていただきます」


儀式を進めている組長の補佐役の言葉で、空気が一気に張り詰めた。


いよいよタイムリミットが迫っている。


酒を酌み交わしてしまえば、もう真紘は正式に杉本の人間になってしまう。


——間に合わなかったか


こうなった以上、最後は強行策しかないと旭が立ちあがろうとした時だった。