「そろそろ帰るか。駅のそばまで送るから」


ようやく涙が落ち着いて、旭に連れられて店を出てから真紘はずっと考えていた。


ここで別れれば、もう彼とは2度と会えなくなるような気がする。


せっかく再会できたのだから、同じことは繰り返したくなかった。


「じゃあ気をつけてな。あんま繁華街うろつくなよ!」


手を振って見送られながら、真紘は一度は駅の方へ向かったが、数歩進んだ所で引き返した。


「……やっぱりヤダ!」


「は?何が……?」


「せっかくまたこうして会えたのに、これで終わりなんて絶対ヤダ!」


おもちゃを買って欲しいと駄々をこねる子どものように食い下がった。


「ヤダっつったって……今日だってこうして会ったのもホントはあんまり良くないんだよ……分かるだろ?」


自分とこうして一緒にいるところを敵対する他の組の人間に見られれば、一般人の真紘を平気で巻き込んでくることも大いにあり得る。