それに気が付いたにこはまだ残るズキズキとした痛みを堪えながら先生の手を避けるように立ち上がった。



立ち上がった瞬間、またズキッと貫くような痛みに襲われたが、それも堪え、逃げるようにその場を後にした。



「おい!」



呼び止める声が聞こえたが、それを無視して無我夢中で走った。



このとき、にこは考えていなかった。



にこは転校生。



この学校に来たのは手続きの時だけ。たったの一度きり。



しかも、手続きの時は職員室に行っただけで、他のところは行っていない。



つまり、ここがどこか、どうすれば戻れるのか分からないわけだ。