緊張しすぎて言葉がうまく出てこない。
 いつもそうだ。アリアナは顔と性質のせいで誤解を生みやすいのに、友好的にふるまおうとして失敗する。

「あなた、勘違いをしているのではなくて?」

(そう、勘違い!勘違いです!誤解なんです!わたくしはあなたに悪意なんてありません!むしろ大好きなこの世界のヒロインと仲良くなりたいんです!)

「わたくし、あなたと、仲良くしたいと思っていますのよ?」

(ばか!わたくしのばか!威圧感を消しなさい!言葉を考えなさい!この……ばか!)

 内心と、口から出す言葉が取っ組み合いのけんかをしている。
 アリアナは猛禽のような目をぎっと限界まで開き、手を握りしめながらひとこと、ひとこと、区切るように言った。