だが、アリアナの高位貴族という出自、目つきの悪い、いかにも悪役ですと言った顔、そして、なにより思ったことをうまく口に出せない、顔もひきつってしまう、という、あがり症の性質が、周囲にアリアナはこのミリナという少女が気に食わないのだと思わせた。
「あ、ええと……」
ミリナが困惑してアリアナを見つめる。
慌てたアリアナは、笑みを消してふるふると首を振った。違う、おびえさせたかったのではない、と言いたくて。
ただ、それをどう伝えるべきかはわからなかったので、無言だったが。
――おい、アリアナ様、本当にあの庶民が嫌なんだな。
――ああ、笑顔が消えたぞ。
――あきれてものも言えないのかしら、あの庶民の子、嫌味がわかっていない様子ですもの。
――さすがアリアナ様ね。
――伝統ある学園に庶民が来るのが許せないって?
――そうそう、アリアナ様、選民意識の高い方みたいだし。
(ちがう、ちがうのです……)