「フッ……。 キャサリンは、元モデルだからな。 付き合っていたわけじゃないと、言わなかったか? それに、背が高いとか、低いとか、何か関係あるのかよ?」
高橋さんが笑いながら言うので、胸の中にいる私まで揺れてしまう。
「だって……高橋さんは背が高いから、やっぱり背の高い人が好きなのかなって……」
何か、子供みたいなことを聞いてるよね?
本当に、幼稚だ。
「そんなこと、気にしたこともないぞ? それより……」
エッ……。
高橋さんが、体を少しだけ離した。
「俺は、我が儘じゃない素直なお前に……」
高橋さんが、小首を傾げながら私を見た。
「えっ?」
「キスをする?」
「エッ……アッ……ンッ……」
ソファーにそのまま押し倒され、驚いてビクッと体が反応してしまった。
「フッ……。 これ以上は、襲うわけないだろ? そんなことをしたら、もっと酔っちゃうからな」
悪戯っぽく、高橋さんが笑う。
「な、何、言ってるんですか。 も、もう、知らない!」
慌てて起き上がろうとしたが、高橋さんに手首を掴まれ押さえられてしまった。
「おっ……とぉ。 まだ、終わってないんだけど?」
「えっ? ちょっ……ンンッ……」
そのまま何度もキスをされて、ふわふわと宙に浮いているような感覚で高橋さんの香りに包まれながら、その指先から温もりを感じ、信じることと、今を一生懸命に生きることを高橋さんに触れることで改めて教えてもらっている気がした。
結婚なんて、まだまだ先の話。
もっと、もっと成長して、大人にならなければいけない。
うわっ。
案の定、腰砕けになってソファーから立ち上がれなくなってしまった。
「フッ……。 陽子ちゃん。 相変わらず、弱いねぇ」
高橋さんが、笑っている。
「ち、違います。 ちょっと、足元がふらふらしただけですか……キャッ……」
いきなり高橋さんが、私を抱っこした。
「お前の部屋、入っていいか?」
エッ……。
「あっ……はい」