「だって、私……我が儘ばっかり言って、高橋さんを困らせてばかりで……ヒクッ……ヒクッ……」
「いいんだ。 分かってくれれば、それで……。 俺だって進歩してないんだから、本当は言えた義理ではないんだけどな」
高橋さんが、優しく私の頭を撫でた。
「ごめんなさい……」
「おいで」
高橋さんが、両手を広げてくれた。
負い目があるわけではないけれど、自分の不甲斐なさと我が儘だったことに、高橋さんに言われるまで気づきもしなかった情けなさから、無条件に勢いよくその胸に思いっきり飛び込みたくても何だか躊躇われ、そっと体を傾けてその安息の地とも言える高橋さんの胸に少し遠慮がちに寄り添うと、高橋さんが私を引き寄せ、頭の上に頬をのせた。
「俺は、我が儘なお前より、素直なお前が好きだから」
「ごめんなさい。私……我が儘ばかり言って……」
何だか、昨日までの高橋さんよりも、今はずっと身近に感じられる。
この1週間の蟠りが、すべて洗い流されたみたいに……。
素直に安心して温もりに包まれながら、高橋さんの香りが優しく漂って私の心を落ち着かせてくれた。
「1つ、聞いてもいいですか?」
「ん?」
高橋さんの胸の中に居るから、ドキドキして顔を見られない。
だけど、私の顔も見られなくて済むので恥ずかしさが少し薄れる。
「高橋さんは、背の高い女性が好きなんですか?」
「んはぁぁ? 何だ、それ?」
高橋さんは、意表を突かれたような声を出した。
「だって……キャサリンさん。 背が高かったから……」
どうしても気になっていて、1度聞いてみたかった。
背の低い私にとって、本当に死活問題なんだから。