毎日、慌ただしくて、あっという間に過ぎていってしまう感じだったが、急遽ロサンゼルスに1泊2日で木曜日に向かうことになり、ロサンゼルスでの仕事を終えてニューヨークに戻ってきたのは、もう夜になってしまっていた。
金曜日ということもあり、どのレストランも予約で一杯だろうから、そのままホテルに帰ってゆっくりしようということになり、冷蔵庫にあるもので食事も済ませてワインを飲みながら、ホッと出来る時間がようやく訪れた。
「シャワー浴びてくるけど、あまり飲み過ぎるなよ。 明日のせっかくの休みに、何処も出掛けられなくなるからな」
「はぁい」
そうなんだ。
明日は、前回案内してもらった場所とは違う場所に行こうということになって、せっかくだから美術館に足を運ぼうということになった。
出先で飲むお酒と違って、家に帰らなくていいということがどんなに楽なことか。 落ち着いて、飲めるのがいいな。
1人でワインを飲んでいると、この1週間の出来事が一気に蘇ってきた。
高橋さんと、キャサリンさんとのhug。
結婚はしない。 出来ないと言っていた、高橋さん。
やるせない気持ちでいっぱいになって、それまで少しずつ飲んでいたグラスに入っていたワインを一気に飲み干した。
「何で、キャサリンさんとhugなんてするのよ。 結婚しないとか、出来ないとか言わないでよ」
高橋さんがシャワーを浴びに行っている間、ブツブツ独り言を言いながら、言いつけを守らないでどんどんワインを飲むピッチがあがってしまい、いい気分になってしまっていた。
「アッハ-。 空いちゃった。 へヘッ……」
「あっ! お前……。 また、何そんな飲んでるんだよ」