私ったら、何を考えているんだろう?
別に、私は高橋さんと結婚したいとか、そんなこと現実的に今あるわけじゃないし、ましてまだ向き合ってももらえていないのに。
でも、付き合う=結婚って考えが少なからずある。
この歳になると、やっぱり少しは考えるわけだし……。
「帰るぞ」
「えっ?」
悶々としながら考えを巡らせていると、もう帰る時間になっていたらしい。
来た時と同じように、会社が用意してくれた車でホテルまで帰ることになったが、車の中で殆ど高橋さんとは話さなかった。
話さなかったというより、話したら色々聞いてしまいそうで話せなかった。
価値観の違いというか、男の人と女の人とでは、やっぱり考え方が違うのかな?
何だか、寂しい夜になってしまった。
ホテルのロビーに着いて、エレベーターに乗る。
「疲れたのか?」
「えっ? あっ……いえ、大丈夫です」
高橋さんが、少し心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「お前。 さっきから口数少ないから疲れたんじゃないか? 今日は、早く寝た方がいい。 と言っても、もう23時か」
「はい……」
エレベーターを降りて部屋に戻ると、お互い自分の部屋に入ってそのまま寝ることにした。キャサリンさん……。
結婚はしない。 出来ない。
ベッドに入っても、高橋さんの言葉が目を瞑るとずっと頭の中で響いていた。