「……」
エッ……。
何か、変なこと言っちゃった?
「フッ……。 分かった。 5本な」
「はい」
高橋さんが、コロン7本を持って直ぐ傍のレジに向かおうとしたので慌てて後に続いた。
でも……。
やっぱり5本だと、玄関に置くのが足りないかもしれない。
「あの、高橋さん。 やっぱり、あと2本追加して下さい」
急いで自分でコロン2本を持って、レジに居る高橋さんのところに持って行った。
「すみません。 私は、カードで買いたいので別会計で……」
「後でいい」
「はい」
制止されてしまったので、そのまま少しレジから離れたところで待っていると、高橋さんが会計を終えてこちらに来てくれた。
「すみません。 ホテルに帰ったら、お支払いしますので」
「フッ……7本も買って、どうするんだ?」
「秘密です」
高橋さんの香りのコロン、7本も買っちゃった。
大人買いだぁ。
高橋さんは少し呆れていたみたいだけれど、いいんだ。
高橋さんの香りを大人買いして、嬉しくなってホテルに戻り、着替えてレセプション会場のレストランへと向かった。
支社の人達もたくさん来ているので、挨拶回りだけでもかなり疲れることになりそうだ。
ひと通り挨拶も終わって、立食だったが隅の方に椅子も用意されていたので、そこに座って少し休んでいた。
挨拶でお辞儀をし過ぎたのか、腰が痛い。
あまり言葉が通じないので、挨拶程度で殆ど話せなかったけれど、身振り手振りで何となく意思の疎通が図れた時は、凄く楽しかった。
高橋さんの姿が、遠くに見える。