「な、何を……もぉ、知らない」
恥ずかしさのあまり、窓の方を向いてしまった。
「ハハッ……ほら、早く食べないと全部喰っちゃうぞ。 特に、この海老とか」
「あっ! 駄目」
そうなんだ。
海老が、大好きだったりする私。
「フッ……。やっぱりお前、ガキだな」
「高橋さん。 酷い……」
だけど、そこはやっぱり海老の魅力には勝てないので、それ以上は反論せずに海老をキープすることに徹した。
食事が終わって、機内も暗くなったのでいつの間にか寝てしまい、疲れていたせいかずっと眠っていた。 時折、毛布がずれて高橋さんがその都度掛け直してくれていたみたいだったが、夢うつつで悪いなと思いつつも、睡魔には勝てなくてそのままお礼も言えずじまいだった。
空港に到着して降りる時も、あのCAとは1度も会わずに済んだが、きっと高橋さんに言われたあの人が配慮してくれたんだと思う。
また会ってしまったらと思うと、ドキドキしていたので内心ホッとした。
到着ロビーを出て、レンタカーを借りて前回と同じホテルに向かう。
約9ヵ月ぶりのNew Yorkが、何だかもの凄く懐かしく感じられる。 前回は、一緒の部屋だと言われて驚いたんだった。 そんなことを思い出しながら、階数こそ違うがまた同じ間取りの部屋に泊まる。
お互い疲れているから、14時ぐらいまでは自分の部屋で好きなように過ごすことにして、私はバゲージの中の物をクローゼットとチェストの中に出し終わって、ベッドでウトウトしていると、何処かで何かが落ちる凄い音がしたので、何事かと思って慌てて飛び起きて部屋から出ると……。
「あぁーあ!」
そんな高橋さんの声がキッチンの方から聞こえたので、急いでキッチンに向かうと、高橋さんがキッチンの真ん中で立ち尽くしていた。
「どうしたんですか?」
背中を向けていた高橋さんが、振り返った。