そして、今回も高橋さんは社長に交渉してくれていたようで、私も一緒にまたビジネスクラスの席に乗れることになった。
搭乗手続きを済ませ、出発時間までロビーの椅子に座って待っていたが、何やら周りの視線を感じてキョロキョロしていると、2列先の椅子に座っている女性2人が高橋さんを見ている。
その視線を感じたのか、私を直ぐさま見ると、さかんにひそひそこちらを見ながら話しているのが分かった。
はぁ……。
また、いつものことだ。
どうしても高橋さんは背が高いことと、このルックスのために自分では感じていないみたいだが、かなり目立ってしまう。
その横に居る私は、と、いうと……。
何で、あんなチビな女が……。と、いうような顔をされてしまうのだ。
よくそんな場面には遭遇していたので、だいぶ慣れては来ていたが、やっぱり女性からの視線が痛い。
「どうした?」
隣に座っている高橋さんが、横目で私を見た。
「いえ……。何でもないです」
以前は、ちゃんと説明したりしていたけれど、 『お前の勘違いじゃないか』 とだけしか取り合ってくれなかったので、最近ではもう言わなくなっていた。
乗る便の搭乗案内がアナウンスされ、搭乗口へと向かう。
さっきの女性2人の横を通ると、コソコソまた話し声が聞こえてきた。
「何であの人に、こんな女なの?」
うっ。
まただ。
また、言われちゃった。
でも、気にしないようにしようと自分に言い聞かせ、高橋さんの後に続くと、高橋さんが後ろを振り返った。
エッ……。
突然、私の右手を握るとそのまま高橋さんは自分の横に私を手繰り寄せたので、驚いて高橋さんを見上げた。
「お前は、お前だろ」