私の担当したお客さんが無事脱出ルートを発見し、お見送りをしたところで、次のお客さんを迎えに行った。
「あっ……。」
和輝くんだ。来てくれたんだっ……!
私を見つけると、和輝くんはあからさまに嬉しそうに駆け寄ってきた。
「あっ、先輩だ!!せーんぱい、ぎゅってしてー!」
「えっ……!え!?」
ぎこちなかっただろうけど、私は和輝くんを抱きしめた。
あたりは暗く、他の人に見られる心配はないとはいえ、自分のクラスの出し物の中である以上ためらってしまう。
一方和輝くんはご満悦のようだ。
「先輩、好き。大好き。」
「ん、私も……」
そんな甘い時間を過ごしていると、私たちのもとに喜春くんがやってきた。
「ほーらやっぱりいちゃついてたよ」
「えっ、喜春くん!?」
「双葉、俺のこと振るのはいいんだけどさ、普通振った相手の前でそういうとこ見せますかねえ……。何?見せつけなの!?」