同級生が先輩に触れようとしていたのですかさず対処しておいた。
「あっ、そうなの……?喜春くんに迷惑かけるわけにはいかないし、今回は遠慮しておこうかな……。」
「え、あ……うん」
よし、先輩が俺以外と接近することは回避した!
そしてメリーゴーランドが回り始めた。
BGMで声はすべてかき消されるが、前を行く馬車で先輩と同級生が何かを楽しそうに話しているのは見える。
あー、あいつまじで消してえ……。
その時だった。
「……っ!」
急に視界が揺らぎ、頭に鈍器で殴られるかのような痛みが走った。
そして急激に現れ、身体を支配していく吸血衝動。
これは……貧血か。最近血吸ってないからだ……。
先輩は追試の勉強を頑張っていたし、だからって他の女子の血を飲み漁るなんてことはしたくない。
耐えろ俺、今日は先輩が楽しみにして待ち焦がれていた一日だ……。