その後も、お化けや悪霊(に扮した人)が出てくるたびに先輩は目に涙を浮かべながら俺にしがみついてくるようになった。

……かわいいかよっ!

そして、出口が目前に迫ってきた。

やばい、まだ出たくない。もっとかわいい先輩のこと見てたい……。



「和輝くん、まだお化け出る……?」

「うん、ここ曲がるっぽいからね、また出てくるかも?」



と言いつつ、俺は今来た道を戻ろうとした。

我ながら悪い奴だな……。

そんなことを考えながらも、俺は出口に背を向けて引き返し始めた。

その時、隣に居たはずの先輩の姿がないことに気が付いた。

あれ、先輩……?



「あ……れ、和輝くん……?」



声がした方向は、俺の足元。先輩は怖さのあまり足がすくんで、座り込んでしまったようだ。



「怖いの苦手なのに連れてきちゃってごめんね?でもほら、一人じゃないから」

「でもやっぱり怖いものは怖い……」