先輩がどんなことを思ってこの世界を生きているのか、だいたいはわかった。

血が甘い人間を見つけた、ラッキーってくらいにしか思ってなかった俺が馬鹿みたいだ。先輩はこんなに悩んで、考えて、それでも正解がわからなくて苦しんでいたのに……。

これからは、血をもらうだけの関係じゃない。

俺が先輩を守らなきゃいけないんだ。



「先輩?」

「……ん?」

「絶対、守るから」

「う、ん……」



先輩は普通の人より何倍も努力してるし、その努力が実を結ばない分思い詰めてる。

それでも他の人や物事に気を配れるのは、先輩だから、幸崎双葉だからだ。



「先輩、好き」



気づけば、そんな言葉を口走っていた。

急な告白に驚いたらしい先輩は、目を見開いて固まっている。こんなちょっとした仕草でさえ可愛い。



「俺に先輩を好きでいる資格をください、
 血だけの関係じゃなくて。」

「え……っ、あ、はい……?」