…………でも、私は違う。

どんなに頑張ったって、私を認めてくれる人はいなかった。勉強だって、運動だって、いくら一生懸命やっていてもちゃんとできなければ通用しない。

私に取り柄なんてない。何もできない……



「え、先輩泣いてんの!?」

「えっ、え…………」



気づくと目の前にはぼやけた和輝くんの姿があった。

ぼやける……ってことは私……

無意識のうちに涙がこぼれていた。



「なに、どしたの?
 俺でよかったら話聞くけど……」



言っていいのかな。私の心の底にしまった悩みを。

涙を流してしまった以上、私に選択肢はなかった。理由を言わないと、和輝くんはこれからも聴いてくるだろう。



「えっと、実はね?…………」



話し始めてしまうと止まらなくて、私の抱えている悩み、不安、絶望を隠すことなくすべて話してしまった。

それでも和輝くんは、いつものおちゃらけた調子ではなく、ずっと何かを考えながら、私の心に寄り添うように聴いてくれていた。

空き教室は、私たちをあざ笑うようにも、すべてを許してくれているようにも見えるような、鮮やかな夕焼けに照らされていた。