とりあえず、双葉を元に戻さなきゃいけない。この状態では話にならない。



「双葉?聞こえる?」

「んぇ……きは、るくん……?」



血を吸われるのに慣れてないせいか、双葉の言葉はおぼつかない。



「どう?今気分悪め?」

「うーん、わかんない……
 頭ふわふわしてる……。」



あー、これ無理だな。1回退散するか。

俺は双葉を抱っこして運ぶ。

――つもりだった。

自然界では考えられないくらいの力で、金縛りのような状態になった。動けなくなったのだ。

「ちょいまち!先輩連れてかないでよー」

「は!?体が動かない……!?」

「俺、ヴァンパイアだよ?
 これくらい容易くできるし」



くっそ、こいつヴァンパイアか!!そりゃそうだよな、血吸ってたし!

なんとかして双葉を……、この力に逆らったら俺が死ぬか……。いや、双葉は死んでも守る!



「おりゃああああ!」

「わーお、まじか」



どうやら俺は火事場の馬鹿力で体を自由にできたようだ。そのまま双葉を連れて、保健室へ向かった。