◯自宅マンション(夕方・帰宅)
コンシェルジュ在住のタワーマンション。
高級感に満ち溢れたラウンジ・ロビーを通り、部屋へと向かう。
高層階の部屋の玄関を開けると、大理石の広い玄関が出迎える。
陽夏「ただいま~」
母「陽夏、お帰りなさい。ママとパパね、今から出張で◯◯県の店舗に視察に行ってくるから、2〜3日留守にするね?」
父は飲食店を経営している。地方にも多店舗展開しているので視察や研修を指導する立場で出張に行くことは多かった。
母も父の秘書として働いているので、両親不在には慣れていた。
陽夏「……うん、気をつけてね」
母「家政婦の飯田さんね、ぎっくり腰になっちゃったんですって」
陽夏「え?!大丈夫なの?」
母「自宅安静だから、しばらくはお仕事休むそうよ。今日から代わりの家政婦さんがきてくれるからね」
陽夏「……はーい」
両親は仕事で不在なことが多いので、百瀬家には家政婦が常時していた。
我が家専属だった家政婦の飯田さんは、長年勤めていたので、陽夏にとって第二のママみたいな感覚だった。
長期出張で両親がいないときは、いつも飯田さんにお願いをしていた。
陽夏(今日くる家政婦さんは、初めての人かな?……家にママもパパもいないときに初めての家政婦さんだったら気まずいなあ……)
母「ごめん!時間がないから、もう行くわね?」
そう言い残して、父と母は足早に家を出て行く。
陽夏は家に一人きりになる。