央士「おいっ!ちょっと長くないか?」
不機嫌そうに央士が二人の間に割って入る。
いつもの王子くんモードではなく、言葉遣いも荒々しい。
陽夏(あれ?王子くんモードじゃないけど、徳川くんいるのに大丈夫なのかな?)
徳川もいるのに、いつもの爽やか王子モードじゃない央士の態度を気にかける。
徳川「王子くんて、そんなキャラだったんだな……陽夏ちゃんのことになると、余裕なくなる感じ?」
央士「……なんでお前が陽夏って呼んでんだよ?」
徳川「おー!こわっ!名前で呼ぶのも止められんの?」
央士は眉間にしわを寄せてすごむ。徳川は睨まれても気にしてない様子で軽快な口調で話す。
二人の間に火花が散っているように見えて、陽夏はあたふたする。
陽夏「あ、あの……」
央士「陽夏!もう行くぞ」
央士は陽夏の手を取り、その場を離れる。歩いて離れていく二人に徳川は言葉を投げかける。
徳川「王子くーん!陽夏ちゃんは、王子くんにとって、なに?好きな人?」
央士「なっ!好きじゃねえよ、別に。こいつは……」
陽夏(……)
央士がどんな返答をするのか、陽夏はドキドキしながら見守る。
央士「こいつは、俺の……か、かの、かの……かかか金ズルだ!(彼女と言おうとするが躊躇して違う言葉を言う)」
陽夏「はあー?!」
陽夏(金ズルってなに!?少しでも期待した自分がバカみたい。ん?なんで期待したんだろう……)
陽夏は自分の気持ちが掴めなくて、戸惑っている。
央士と陽夏は歩いて徳川の元から去っていく。
徳川「ははっ、おもしろっ。残念だけど、王子くん。陽夏ちゃんはこれから悲劇のヒロインになっちゃうんだけどね」
徳川は去り行く二人の背中を見ながら意味深に呟いた。