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携帯の呼び出し音が鳴る
陽夏「ママからだ……なんだろう?」
母からの着信に、通話ボタンを押す。
陽夏「もしもし?」
母「陽夏?ママとパパ、今日帰るから!」
陽夏「え、明日のはずじゃ……?」
母「今日になったのよ!もうすぐ着くんだけどね、えーと……家政婦の星乃さん?だったかしら。二人分の食事追加をお願いしといてね!」
陽夏「あ、えっと、その……」
陽夏は両親に、専属家政婦に央士を指名したことを言っていなかった。
勝手に家政婦事務所に連絡したことに気が引けて、言えずにいた。
母「新しい家政婦さん、優しい人だった?長年お世話になってるから、信頼はあるしお任せしても心配いらないと思ってプロフィールまだ見てないのよね……何歳の方とか分からないのよ」
陽夏「……」
母は新しい家政婦の情報を知らない。
家政婦で我が家にやってきたのがクラスメイトの男子だと知らないのだ。
母「まあ、もうすぐ着くから!じゃあね!」
陽夏「ママ、ちょっと待って!実はね……」
話を続けようとしたが、プツリと通話を切られてしまった。
陽夏「どうしよう、ママとパパが帰ってくる!」
央士「よかったじゃねぇか、家族が帰ってくるなら」
陽夏「まだ、央士くんのこと、説明してないんだよー!帰ってきて男の子がいたら、びっくりしちゃうよ!」
陽夏はワタワタと焦りながら、戸惑う原因の央士に視線を向ける。
陽夏(央士くんのこと、なんて説明しよう?家に男の子がいたんじゃ、変に誤解されちゃうかも……)
陽夏「央士くんのこと、なんて言おう?」
央士「……俺に任せとけ。いい考えがある」
陽夏「……えっと、家事代行のバイトをしてて、指名したことを言わないと。指名したのは、料理が上手だから…やましい理由ではなくて……。ってしっかり説明してもらえる?」
央士「任せとけ!」
自信満々にいうので、陽夏は焦っていた気持ちが少し落ち着く。