二人が出て行くとき、私に目くばせして。


私の手のひらにキスを落としていった。


「見ててごらん。龍矢がどんなに美和ちゃんのこと好きかわかるから。」


そう、稲垣さんは耳元で言った。


二人が出て行ったあと。


「美和。」


龍矢が私を呼んだ。


ちょー不機嫌な声で。


「なに?」


「こっち来い。」


わー二人とも、そんなことしてくれなくていいよ。


龍矢、怒ってるじゃん。


しょうがないから、龍矢のところまで行った。


「なに?」


龍矢が私の手をとった。