うんんって、私は首を横に振ることしかできなかった。


「これか?俺のために作ってくれたやつは。」


「うん。」


「開けていいか?」


「うん。」


龍矢がリボンをほどいた。


「うまそうだな。」


「お母さんのガトーショコラ。私が一番好きだったの。」


龍矢が一口食べた。


「うまい。」


そう言って、笑った。


それから、私にも一口食べさせた。


「ありがとな、美和。」


それから。


今日のキスの味は、チョコ味だった。