バレンタインって、今まで自分には関係ないと思ってた。


でも今年は。


贈りたい、大切な人がいる。


「今日は早く帰ってきてね。」


朝、龍矢にそう言っておいた。


今日は土曜日だから、龍矢は会社。


最初は、不思議な顔をしていたけど。


すぐに、あの意地悪な笑顔になった。


「楽しみにしてるよ。」


私の唇を奪って、出かけて行った。


龍矢が出かけてから。


私はキッチンに閉じこもった。


ここのシェフに少し貸してくださいってお願いした。


そしたら。


笑顔でどうぞって、言ってくれた。