「さあ、授業始めます。」


先生は数学を教えている。


わかりやすいって評判だ。


「ここは、この公式を使います。」


数学は、嫌いじゃない。


勉強は嫌いじゃない。


「立花さん。ここできますか?」


「はい。」


先生に言われて、前に出た。


答えを書いていく。


「よくできました。」


そう言って先生はほほ笑んだ。


私が先生の素顔を知る前の、よく見ていた笑顔だ。


いったいいくつ顔を持っているんだろう?


「先生、わからん。」