今年もあと、数時間で終わる。


「早く帰って来ないと、年が明けちゃうよ。龍矢。」


龍矢はまだ帰って来ない。


ケータイにも連絡はない。


でも、絶対帰って来るよ。


だって、クリスマスのとき約束したから。


あと30分で新しい年。


「遅くなったな。」


「龍矢。」


なんかものすごく、さみしい気分だったから。


龍矢に抱きつこうとしたんだ。


「待て。」


「えっ?」


「コート脱ぐから。今抱きついたら濡れるぞ。」


よく見ると、龍矢のコートは濡れていた。